「昔ギターに挑戦したんですが、挫折してしまって…」という方に「最初になにを練習したんですか?」と聞くと、かなりの確率で「とりあえずCコードから…」という答えが返ってきます。

ドミソ。最もスタンダードな和音だから、まずCから——という選択は、確かに理にかなっているように思えます。でもこれ、ギターという楽器においては少し事情が違います。最初に選ぶべきコードは、Cではありません。

これは多くの独学ギタリストが知らないまま壁にぶつかっている、見落とされがちなポイントです。

「Cコードから始める」はどこから来ているのか

レッスンをしていると、独学で始めた方の多くがCコードの練習からスタートしていることに気づきます。冒頭のように、挫折エピソードでもよく耳にするトピックですね。

おそらくその背景には、ピアノの感覚があると思っています。ドミソ=Cコードというのはピアノでは基本中の基本で、鍵盤でも押さえやすい。その感覚がそのままギターに持ち込まれているのでしょう。

気持ちはよくわかります。「ドミソが基本」というのは間違いではないし、音楽的な選択として自然な発想です。ただ、ギターとピアノとでは、同じコードでも押さえ方がまったく違います。

Cコードはギターにとって難しい部類のコード

ギターにおけるCコードの押さえ方を実際に見てみると、これが思いのほか難しい。

人差し指・中指・薬指のそれぞれが、異なる弦の異なるフレットに分散する押さえ方です。指の形が直感的ではなく、慣れていない段階では1本ずつを正確に置くだけでも一苦労。ギター初心者が最初につまずきやすいコードのひとつです。

「Cを押さえようとしたら全然うまくいかなくて」という話は、レッスンで本当によく聞きます。そのたびに「それはCが難しいんです、あなたのせいじゃないです」とお伝えしています。

コードを押さえようとして悩む初心者

「簡単なコードを1つずつ覚える」も、実は不十分

この問題を知っている教室の多くは、最初にEm7やAm7といった押さえやすいコードから教えます。これ自体は正しい判断だと思っています。

ただ、「押さえやすいコードを1つずつ覚えていく」というアプローチには、もうひとつ壁があります。

弾きやすさを重視して選んだコードを組み合わせても、なかなか「弾きたい曲」にならないんです。多くの場合、弾きたい曲のコード進行を調べると、部分的に難しいコードが1つか2つは紛れ込んでいる。

そのたった1つか2つのコードのせいで曲は完成しないままで、「せっかく簡単なコードを押さえられるようになったのに、曲は弾けないじゃないか」となってしまいます。

最初から「曲になるコード進行」を使う

放課後音楽大学では、このことを踏まえて、最初から「コード進行」として教えることにしています。

使うのは、Cadd9(omit3)G6/BDsus4(add9)/A といったコードです。名前を見るとびっくりしてしまいますが、実際に押さえてみると指の負担が少なく、初心者でも形を作りやすい。さらに、この3つをつなげるだけで音楽的に聴こえるコード進行になります。

最初のレッスンから、コードを「進行として」弾く体験ができる。これが、早い段階で「弾けた!」という感覚を得られる理由です。1曲の一部を弾けるという体験が最初にあると、その後の練習が続きやすくなります。

自分のペースで、でも確実に前進できる。それを設計するのが、私たちの仕事だと思っています。

よくある質問

Q. 独学でCコードから練習してきましたが、今から変えることはできますか?

はい、問題ありません。コードの習得は積み重ねですが、出発点を変えることはいつでもできます。むしろ早い段階で気づけたほうが、遠回りが少なくて済みます。

Q. Cadd9omit3やG6/Bは、本当に初心者でも押さえられますか?

押さえられます。名前の見た目と難易度は一致しません。実際、初めてギターを持った方がこれらのコードで弾けた体験をしています。


どのコードを、どの順番で、どうつなぐか。この設計が、続けられるかどうかを大きく左右します。

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