J-popをはじめ、皆さんのよく聴く曲のコード進行は、実は「定番進行」と呼ばれる数パターンの組み合わせでできていることが多いです。コードを1曲ずつ丸暗記するのではなく、この定番進行を押さえやすい形で覚えておくと、初心者でも応用範囲がぐっと広がります。

「コードの数が多すぎる」と感じるのは、最初の1曲だけ

レッスンでJ-popの曲を弾きたいという生徒さんに、まず最初にコード表をお見せすると、「こんなにたくさんの種類があるんですか…」という反応をされることがよくあります。実際にコード表だけを見ると、C、G、Am、Em、Bm、D…とアルファベットと数字が並んでいて、確かに種類は多く見えます。

ところが実際に何曲かのコード進行を並べてみると、面白いことに気づきます。コードの「組み合わせの順番」には、いくつかの決まったパターンがあるんです。「定番進行」と呼ばれるものです。

ちなみに、最初にどんな曲・コードから練習するかという選び方については、こちらの記事でも詳しくお話ししています。

「だから上手な人は、どんな曲もサラッと弾けちゃうんですね」

ギターを弾く生徒に、講師がコード進行のパターンを説明している様子

以前、ある生徒さんに「この定番進行を覚えておくと、知らない曲でもコード進行を見たときに『あ、これさっきのパターンだ』と気づけるようになりますよ」とお伝えしたことがあります。すると、「だからギターが上手な人は、大抵の曲はサラッと弾けちゃうんですね!」と、ちょっとした発見をしたような表情をされていたのが、今でも印象に残っています。

これは特別な才能の話ではなく、知っているパターンの数の違いだけなんです。1曲ごとにコードを丸暗記するのではなく、「この進行、知ってる」という感覚を増やしていく。それが、J-popのコードを弾きこなすための一番の近道です。

ここからは、実際によく使われる定番進行を2つ、コードダイアグラムと一緒にご紹介します。

定番進行① C→D→Bm→Em

J-popでよく見かける進行のひとつが、C→D→Bm→Emです。まずは、教則本などでよく見る形(フルコード)で押さえてみましょう。

C・D・Bm・Emのフルコードダイアグラム

この中で特に難しく感じやすいのがBmです。指4本を使った「バレーコード」で、押さえる位置も複雑なため、ここで挫折してしまう方も多いコードです。放音流では、押さえやすさを優先して、以下のようにアレンジしています。

放音流の簡単verコードダイアグラム(C・D・Bm・Em)

Bmはオープンコードとして弾ける形に、Cも指2本で押さえられる形に変えています。響きは原曲と少し違う部分もありますが、「止まらずに弾ける」ことを優先したアレンジです。

このC→D→Bm→Emの流れが使われている曲には、次のようなものがあります。(カポタストでキーを調整する必要があります)

  • HANABI / Mr.Children
  • ロビンソン / スピッツ
  • Love so sweet / 嵐

知っている曲があれば、ぜひコード譜を見てみてください。「あ、このパターンだ」と気づけるはずです。

定番進行② G→D→Em→C とその仲間

もうひとつ、J-popで非常によく使われているのがG→D→Em→Cという進行です。

G・D・Em・Cのフルコードダイアグラム

この進行は面白いことに、同じ4つのコードを「どこから弾き始めるか」を変えるだけで、全く違う雰囲気の曲に生まれ変わります。

G→D→Em→C から始まる曲

  • レット・イット・ビー / ビートルズ
  • レット・イット・ゴー / 「アナと雪の女王」
  • チェリー / スピッツ(イントロ)

Em→C→G→D(3番目から)で始まる曲

  • The Beginning / ONE OK ROCK
  • ワタリドリ / [Alexandros]
  • 弱虫モンブラン / DECO*27

C→G→D→Em(4番目から)で始まる曲

  • Lemon / 米津玄師
  • ただ君に晴れ / ヨルシカ
  • トリセツ / 西野カナ

ロックバンドの代表曲から、ディズニー、ボカロ曲まで——ジャンルはまったく違っても、使われているコードの並びは同じなんです。「定番進行を知っている」というのは、こういう曲同士のつながりに気づける、ということでもあります。

ここでもD・Gは、放音流では押さえやすい形にアレンジしています。

放音流の簡単verコードダイアグラム(G・D・Em・C)

G・Dのようにシンプルに見えるオープンコードも、実際には指3本を別々の形に配置する必要があり、最初はかなり苦戦するポイントです。放音流ではGをG6、DをDadd9という形にして、どちらも指2本で押さえられるようにしています。J-popらしいキラッとした響きが加わることも多く、むしろ曲の雰囲気に馴染むこともあります。

「簡単なコードに変える」というより、「その曲をいちばん弾きやすい形に組み直す」という発想です。

よくある質問

Q. J-popのコードはどれくらい覚えれば弾けるようになりますか?

1曲ずつ丸暗記するのではなく、まずは今回ご紹介したような定番進行を2〜3パターン覚えるところから始めるのがおすすめです。それだけで、初めて見る曲でも「このパターンだ」と気づける場面が増えていきます。

Q. BmやFのようなバレーコードが苦手でも大丈夫ですか?

大丈夫です。Bmはオープンコード、Fも同様に指の本数を減らしたアレンジがあります。放音流では、押さえやすい形を一緒に探っていきます。

Q. 1つの定番進行を覚えたら、他の曲にも使えますか?

はい。同じ4つのコードでも、並べる順番(スタート位置)を変えるだけで全く違う曲に聞こえます。1つの定番進行を覚えると、ジャンルを問わず多くの曲のコード進行が「見える」ようになっていきます。

この記事を読んでくれたあなたへ

J-popのギターコードが難しく感じるのは、コードの種類の多さよりも、「丸暗記しようとしてしまう」ことが原因かもしれません。定番進行を知ること、そして自分にとって押さえやすい形にアレンジすること。この2つを意識するだけで、見える景色がぐっと変わります。

放課後音楽大学では、こうした「弾けることを最優先にしたコードアレンジ」を、無料コンテンツでも詳しくご紹介していく予定です。

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